前十字靱帯損傷
膝前十字靱帯はスポーツの際にジャンプの着地や急な方向転換で膝関節をねじることで損傷します。受傷から約2〜3週間が経過すると、損傷に伴う炎症がとれて歩くことも可能となり、日常生活に支障がない程度にまで改善することも多いとされます。しかし、症状が改善したからといって、断裂した前十字靱帯が治ったわけではなく、靱帯は切れたままです。したがって走行時や急な方向転換で膝崩れが生じ、スポーツ活動に支障をきたす場合が多くみられます。また前十字靭帯損傷に伴い半月板損傷を合併することが多く、放置すると変形性膝関節症に移行する恐れがあります。そのためスポーツ選手を中心に多くの方に手術療法が適応となります。
手術治療は、関節鏡下に行われ、自家腱と呼ばれる自身の腱を用いて靭帯再建を行います。自分の膝の内側にある腱(半腱様筋腱・薄筋腱)あるいは膝の前方の腱(骨付き膝蓋腱)を用いて前十字靱帯を再建します。それぞれに利点・欠点があり、患者さんのスポーツや特性に応じてどこの腱を使用するかを判断します。
術翌日から松葉杖歩行を開始して、リハビリ(可動域訓練や下肢筋力訓練)を行います。術後3~4カ月からジョギング、6カ月から練習復帰、10カ月(患肢の筋力が健側の90%以上に回復)でスポーツ復帰を目指します。


