腱板断裂
腱板とは上腕骨と肩甲骨をつなぎ、肩を安定化させる4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)から成る筋群です。

腱板断裂とは文字通りその腱板が断裂することをいい、その背景には、腱板が骨と骨(肩峰と上腕骨頭)にはさまれているという解剖学的関係と、腱板の老化があります。

腱板断裂が生じると、肩を動かしたときの痛みや、それに伴う肩の動きの制限が見られますが、夜間痛の訴えもよく聞かれます。夜、じっとしているのに肩がズキズキしたり、寝返りするだけで肩の痛みを感じ、肩の痛みで眠れないという方もよくいらっしゃいます。
治療としては痛みに対しては鎮痛薬の内服や、肩関節内へのヒアルロン酸やステロイドなどの注射を行います。腱板のすべてが断裂することは少ないので、残っている腱板の機能を賦活させる腱板機能訓練(リハビリテーション)も行います。ただこれらの薬物やリハビリテーションの効果がみられない場合は、手術を行います。
手術療法としては、主に関節鏡(内視鏡)を用いた腱板修復術を行っております。5mm程度の穴を5-6箇所あけ、上腕骨に糸が付いたビスを数個打ち込んで、切れた腱板をもう一度付着部に縫い付けて修復します。術後は断裂の大きさにより約4~6週間、装具による固定が必要です。
腱板修復術のイメージ

術前後の関節鏡画像

手術後は、腱板が修復するまで時間が必要です。
そこで、修復した腱板に収縮や緊張などのストレスを加えないように術後3~6週間装具を装着します。手術をした腱板の修復には約3カ月を要するため、再断裂は3カ月以内に多いといわれています。したがって、肩に負担のかかる運動は少なくとも術後約3カ月以降となります。年齢や断裂形態、筋力、術後の回復具合により異なりますが、軽作業の復帰が術後3カ月以降、重労働がおおむね術後6カ月以降が目安です。
