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循環器内科

主な疾患と治療法【循環器内科】

心筋梗塞・狭心症(冠動脈疾患)

症状

体を動かした時に動悸や息切れ、胸の痛み・圧迫感が出現し、安静にするとその症状が軽くなることがあります。原因として心臓の筋肉に酸素や栄養を供給している血管(冠動脈)の狭窄(血液の通り道が狭くなること)や閉塞(血液が流れなくなること)が考えられます。

検査

(負荷)心電図検査、心臓超音波検査、心臓核医学検査(シンチ)、冠動脈CT検査などの検査を外来で行います。 

治療

外来の検査で異常が見つかった場合は入院して心臓カテーテル検査を行います。冠動脈に高度の狭窄・閉塞を認めた場合は冠動脈カテーテルインターベンション治療を行います。

心不全

症状

心臓の病気が原因で、体を動かした時に動悸や息切れ、胸の違和感などが出現し、顔や足がむくむことがあります。しんどいのに夜に横になって眠れない場合もあります。

検査

血液検査、心電図検査、レントゲン検査、心臓超音波検査等を行います。

治療

薬物による治療を行います。外来治療でよくならない場合は入院して点滴治療や酸素投与を行うこともあります。入院時のみではなく、退院後も再発防止のための外来で心臓リハビリテーションや在宅医療の支援を行うこともあります。

末梢動脈疾患(PAD)の診療について

末梢動脈疾患(PAD)は、動脈の狭窄や閉塞により血流が悪化する疾患のことです。特に頻度の多い下肢閉塞性動脈疾患では歩行時の痛みや足の冷感、潰瘍などの症状が現れます。当院では下肢閉塞性動脈疾患を中心に、鎖骨下動脈や腎動脈などを含めたPADの診療を行っています。

検査

ABI(足関節上腕血圧比)検査や超音波検査、CTアンギオグラフィー、下肢動脈造影検査などを活用し診断を行います。

治療

  • 薬物療法
    血液の流れを改善する抗血小板薬や抗凝固薬、血管拡張薬を使用して、症状の緩和と進行抑制を目指します。
  • 生活習慣改善の指導
    動脈硬化のリスク因子を減らすため、食事・運動療法を含む生活指導を行います。
  • 血管内治療
    バルーン拡張術やステント留置術により、狭窄・閉塞した血管の血流を改善します。

透析患者さんのシャントに対するカテーテル治療(VAIVT)について

透析治療を受けている患者さんにとって、シャントの維持は治療の継続において重要です。当院ではシャントに対するカテーテル治療(VAIVT:シャントPTA)行い、シャントトラブルの早期解消と透析の円滑な継続をサポートしています。

検査

シャントの血流評価
超音波検査や造影検査を使用して、シャントの狭窄や閉塞を正確に診断します。

治療

血管内治療(VAIVT)
バルーンカテーテルを用いて、狭窄した血管を拡張し、シャントの血流を回復させます。外科手術を行わず、身体への負担を軽減した治療が可能です。

不整脈

症状

不整脈とは、心臓の拍動が異常に速くなったり、遅くなったり、不規則になったりする状態を指します。症状としては、心拍の乱れ、軽い運動や日常の動作で息切れ、血流が不安定になることで、めまいや一時的な意識消失を来すことがあります。胸の痛みや圧迫感、不快感と表現されることもあります。

検査

不整脈の検査方法として心電図があり、心臓の電気的活動を記録し、不整脈の種類やその原因を特定します。また、ホルター心電図は、24時間の心電図を記録することで、不整脈の発生頻度やタイミングを把握します。運動負荷試験では、運動中の心電図を記録し、運動による不整脈の発生を確認します。超音波検査では、心臓の構造や機能を画像で確認し、不整脈の原因となる心臓の異常を検出します。さらにイベントレコーダーを数週間から数カ月間携帯して、症状が出たときの心電図を記録する方法もあります。

治療

整脈の治療は、その種類や重症度によって異なります。薬物治療では、不整脈の出現を抑えたり、心拍数の制御を行います。カテーテルアブレーションは、カテーテルを使って心臓の異常な電気信号を遮断し、不整脈の根治を図る治療法です。また、ペースメーカーは、心拍数を調整するために皮下に埋め込む装置です。植込み型除細動器(ICD)は、命に関わる不整脈を検出し、電気ショックにより正常なリズムに戻す装置です。

深部静脈血栓症、肺塞栓症

症状

深部静脈血栓症は、下肢や骨盤内の深部静脈に血栓が形成される疾患であり、血栓が血流に乗って肺動脈を閉塞すると肺塞栓症を引き起こします。深部静脈血栓症の主な症状は下肢の腫脹、疼痛、発赤、熱感であり、進展して肺塞栓症に至ると突然の呼吸困難、胸痛、頻脈であり、重症例では低血圧やショック状態に陥ることもあります。

検査

共通して採血での血栓マーカーの確認が有用です。また下肢静脈エコーによって血栓を発見したり、胸部造影CTによって危険な血栓が肺静脈内まで波及していないか確認します。

治療

基本となるのは抗凝固療法です。ヘパリンやDOAC(直接経口抗凝固薬)を使用し血液をサラサラにして更なる血栓の形成を予防します。軽症の肺塞栓症や深部静脈血栓症は抗凝固療法のみで対応可能ですが、重症例や血行動態が不安定な場合は、血栓溶解療法(t-PAなど)を行います。

下肢静脈瘤

症状

下肢静脈瘤は、下肢の静脈血の逆流を防止する弁の機能不全により、血管が拡張して瘤状(こぶ状)になる疾患です。主な症状としては、下肢のだるさや疲労感が挙げられます。進行すると、皮膚の色素沈着や湿疹が見られ、さらには皮膚潰瘍を形成することもあります。

検査

下肢静脈瘤の発見は主に視診と触診で行われますが、静脈瘤の原因血管の同定や治療適応の有無を判断するために下肢静脈エコーを行います。

治療

下肢静脈瘤の治療には、症状や程度に応じて治療が行われます。自覚症状の乏しい軽症例では、弾性ストッキングの着用が第一選択となります。
根治治療としては、下肢静脈瘤レーザー治療があります。以前は拡張した静脈を引き抜くストリッピング術が行われてきましたが、当院ではより侵襲(患者への負担)の少ないレーザー治療を行っており、患者さんの身体的負担の軽減に努めています。入院期間も2泊3日と短期間で、治療後の傷が目立ちにくく、再発を起こしにくいことが特徴です。