主な疾患と治療法【消化器内科】
肝臓治療
肝硬変・肝臓癌の7~9割はB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎が原因です。B型肝炎はインターフェロン治療・抗ウイルス薬の治療でウイルスの活動性を抑えることができます。C型肝炎は抗ウイルス薬(DAA、直接作用型抗ウイルス薬)の飲み薬が登場し、副作用が少なく、ウイルスの完全駆除が可能となりました。ウイルス性肝炎にかかった方は、ウイルスの活動性がなくなっても癌の発生は皆無にはなりません。定期的な画像検査が必要で、早期発見・早期治療(RFA:ラジオ波焼灼療法、TACE:肝動脈塞栓療法)を心がけています。
炎症性腸疾患
クローン病、潰瘍性大腸炎という病気があります。原因が不明なことが多く、難病指定されていますが、内服薬以外に顆粒球除去療法(透析治療)や抗体治療などの治療方法が進歩してきています。当院でこのような内科的治療が可能ですが、重症例は特殊な手術が必要なこともあるため、その際は兵庫医科大学の炎症性腸疾患科と連携し治療を依頼しています。
がん治療
消化器には癌が好発します。抗がん剤治療の進歩により、生存期間が延長し、在宅治療が可能となってきています。当院では外来化学療法室を設け、外来治療を推進しています。抗がん剤治療は各種ガイドラインに従い治療方法を選択しています。新しい抗がん剤として免疫チェックポイント阻害薬が登場し、話題となっています。一部の胃癌にも使えるようになったため、対策チームを立ち上げ、使用できる体制作りをしています。
内視鏡
治療
上部消化管(食道・胃)
早期癌は内視鏡治療の適応が広がっています。現在はESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が標準治療であり、当院でも平成18年の導入以来、10年以上の実績があり、年間70例前後の治療を行っています。
大腸
大腸癌は罹患率・死亡率とも上昇している疾患です。ポリープから癌に進行することがわかっており、ポリープを早い段階で切除することで癌への進行が抑えられます。当院では、小さなポリープで良性のものは、外来手術(コールドスネアポリペクトミー)を行っていますが、サイズが大きいものは、入院でEMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行っています。大腸のESDは高度な技術を要する治療ですが、当院では年間30例以上施術しています。
緊急内視鏡
吐血の主な原因であった、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や食道静脈瘤は、ピロリ菌の除菌治療が広まったことや、肝硬変患者の減少により、頻度は少なくなってきています。それに反し、大腸からの出血(主に憩室出血)は、血液をさらさらにする薬を飲んでいる方が増えている影響で、増加しています。当院ではオンコール体制をとり、緊急を要する出血に可能な限り対応しています。止血は主にクリップによる機械的止血や、高周波凝固療法を行っています。
胆管・膵臓
結石による胆管炎・膵炎は緊急処置(乳頭切開術、ドレナージ術)が必要となります。また癌による黄疸も内視鏡治療を要します。近年、胆・膵疾患は増加しており、当院にも近隣医療機関からの紹介が増えてきています。年間250例程度治療を行っています。
検査
平日は午前・午後で内視鏡検査を行っています(午前に上部、午後に大腸)。基本的には鎮静剤を使用し苦痛の軽減を図っています(自家用車をご自身で運転してこられる方には鎮静剤の使用をご遠慮願うことがあります)。特殊光や拡大観察などの精密検査が可能で、早期癌の早期発見、診断に役立てています。 特殊な内視鏡検査として、カプセル内視鏡、小腸バルーン内視鏡、超音波内視鏡などを行っています。超音波内視鏡は、胆・膵疾患の診断に有効であり、針生検にて、病理診断を加えることもできます。