手術を受ける患者さんへ
手術が決定してからの流れを説明します
1
外来担当医より手術の説明があります
(詳細な説明は入院後に主治医から説明がされることもあります)
2
高リスクの患者さんはあらかじめ麻酔科外来を受診していただく場合があります
(該当の患者さんは入院前に指示があります)
3
入院支援連携室で看護師より手術の説明があります
(必要物品や手術までの日常生活についてなど)
4
入院後に麻酔科医の説明があります (麻酔科外来を受診されていない患者さんが対象です)
手術室看護師による術前訪問があります(手術についてご質問などがあればお聞きしています)
5
手術当日
術前準備
絶食、絶水について
胃の中に食べ物や水分が残っていると、麻酔中に吐いて気管の中に入ることで、肺炎をおこし重症化することがあります。麻酔を開始する前の一定時間は、食べたり、飲んだりしないように指示があります。術前は必ず指示を守っていただきます。
ただし、飲水可能時間内はしっかり水分摂取しておくことで、術前からの脱水や血栓予防、術後せん妄予防ができます。無理のない程度でこまめに摂取するようにしましょう。
爪は短く切っておきましょう
爪が長いと、爪の間に細菌や汚れがたまります。手術後創部に触れた場合に、創部が感染する可能性があります。また、手足の手術では、手術するところを含め指先まで消毒をします。爪が長いと消毒が十分にできません。
また、入院中は血液中の酸素濃度を測定するセンサーを指先に装着します。この測定は手術中にもとても大事なセンサーです。爪が長いとうまく装着できず、正確に測定できない場合があります。
ネイルは除去しましょう
ネイルがあると、血液中の酸素濃度を測定するセンサーの妨げになり正確に測定ができません。また、ネイルには金属が含まれている場合があり、電気メス使用時火傷の危険やMRI検査ができないことがあります。はがれかけたネイルは、感染の原因になりますので手術前に除去しておきましょう。
歯磨きについて
全身麻酔では、口から人工呼吸のチューブを入れるため、歯垢や歯石などの汚れがあると
肺炎などの合併症が増えるため、手術当日も含めしっかり歯磨きをしておく必要があります。歯科受診をしてクリーニングをしておくのも良いでしょう。また、ぐらついた歯や弱くなった歯は、人工呼吸の際に抜けてしまうことがあります。全身麻酔で意識がはっきりしない間に歯が抜けてしまうと、誤って気管の中に入り込んで窒息する危険性があります。気になる歯がある場合は、入院までに治療しておいてください。
義歯は外します
義歯も動揺歯と同様に手術中に飲み込んでしまう危険性があり、装着したままの場合は気管挿管の際に口腔内や入れ歯そのものを損傷してしまう可能性もありますので外していただきます。
ウィッグ、かつらについて
ウィッグの留め具や材質によって、頭皮の損傷や電気機器による通電の可能性からやけどの危険性がありますので外していただきます。容姿が気になる場合は、手術室内に入室してからはずすことも可能ですのでご相談ください。
保温しましょう
手術前から体温を保つことで手術中の低体温が予防できます。手術中低体温に陥ると、免疫機能の低下、手術部位感染、血液が固まりにくくなる、麻酔からの目覚めが遅くなる、体温を保とうと震えるため酸素をたくさん使用してしまう、心臓に負担がかかるなど体に悪影響を及ぼします。手術室入室時には手術着の上に上着を羽織ったり、靴下をはいてきてもいいです。
口唇は保湿しましょう
口唇が乾燥していると、人工呼吸のチューブを入れる際に切れて出血する場合があります。リップクリームで口唇の保湿を行うことで予防できますので、手術室入室までしっかり保湿をしておいてください。リップクリームは無色透明のものを使用してください。
コンタクトレンズは除去します
コンタクトレンズを装着したままだと角膜を傷つける場合があるため外してください。その場合、眼鏡を装着して手術室に入室できます。
指輪は外しましょう
手術中は、手術の部位や種類によりますが、電気メスを使用することがあります。電気メス使用時は、体内に電気が流れ、体に金属の指輪が接触していると、隙間に電流が発生して火花が起こり、やけどを起こす可能性があります。また、手術中点滴をするため、体がむくみやすい状態にあります。むくむと指輪がきつくなり、指を締め付けて血の流れが悪くなることがありますので指輪は外していただきます。どうしても外せない場合はご相談ください。
湿布類は除去します
湿布は、皮膚トラブルの原因になります。また、ピップエレキバンなどの磁気治療器は、電気機器使用時にやけどを起こす可能性がありますので手術室入室までにはずしていただきます。
下着について
手術室入室時はご自分のショーツ(パンツ)のみ着用していただきます、手術着の下にシャツなどは着用しないでください。
補聴器について
電気メスの高周波電流が補聴器に干渉する場合がありますので補聴器は可能な限り外していただきます。補聴器がないとまったく聞こえないなど、コミュニケーションが困難になる方は装着してきてもらう場合もありますのでご相談ください。