脳神経外科について
脳神経外科をはじめとする、脳担当医師の職務は、「脳を守る」ことです。みなさまの身近でも発生する脳卒中をはじめ脳疾患全般について、①病気にかからないこと、②病気にかかった場合も機能の低下をできるだけ少なくすることです。
①予防医学~まずは、病気にかからないこと~
特に脳卒中では、高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙などとの関連が指摘されており、これら生活習慣病の周知、必要に応じてその治療を勧めます。一方、脳神経外科の職務の一つとして、こういった脳卒中予防の外科的治療を行うことがあります。その一つ、頸動脈狭窄症という病気にたいして脳血管内治療としてカテーテルを用いたステント留置術や、外科治療として、動脈を切開してプラークと呼ばれる脂肪の塊を除去する手術(頸動脈内膜剥離術)を行うことがあります。破裂するとくも膜下出血という病気になる、脳動脈瘤にたいして、カテーテルを用いたコイル塞栓術や、外科治療としてクリッピング術を行うことがあります。
②病気にかかった場合も機能の低下をできるだけすくなくすること
わが国の死因第4位に脳卒中が位置します。そのうちの約6割が脳梗塞であり、わが国における国民病の一つといえます。脳神経外科では、血管造影装置(バイプレーン)のほか、当院の高度医療機器・施設(MRI、放射線治療装置、無菌手術室、集中治療室など)を駆使し、t-PA治療(血栓溶解薬を用い詰まった血栓を解かせる)を含む急性脳梗塞、カテーテルを用いたコイル塞栓術(カテーテルを大腿動脈から挿入する脳動脈瘤の治療)、外科治療としてのクリッピング術(開頭術による脳動脈瘤の治療)や脳卒中診療はもちろん、それ以外の脳神経外科疾患全般に対応します。
当科の特徴
チーム医療体制
担当医師、看護師以外に以下の職種とチーム医療を行い、患者さんひとりひとりについて、治療・療養計画、見直しを行い、脳卒中などの診療にあたります。当院での治 療困難な症例にたいしては、関連施設への紹介を行い、患者さんのニーズにこたえていきます。
- 理学療法士(PT):麻痺した手足などの体の運動機能の回復に必要な訓練、座位、立位、歩行訓練を担当します。
- 作業療法士(OT):日常生活の身の回りのことや、家事・仕事に必要な作業ができるように訓練を行います。
- 言語聴覚士(ST):言葉が話せない、ものの名前が出てこないなどといった症状に対する訓練や、嚥下訓練を行います。
- ソーシャルワーカー:患者さんやその家族を含め、生活・社会環境、経済的なことなどの相談にあたります。
- 看護師:看護業務の一環として、日常生活の訓練や指導を行います。
- 管理栄養士:食生活の指導・改善提案を行います。
リハビリテーション
神経疾患におけるリハビリテーションはできるだけ早期に始めることが重要であるとされており、当院でも、入院当日から機能を評価し、ベッド上でのリハビリテーションを開始、予後の改善に努めております。そして急性期の治療が終われば、すみやかに回復期リハビリテーション病院への転院を進めております。
最先端の血管造影装置
緊急対応が求められる脳疾患治療に対応するため、新型血管造影装置(バイプレーン)を1台増設しました。この血管造影装置は、兵庫県下でもまだ導入数が少ない最新の装置で、2方向から鮮明な画像が短時間で撮影できるため、脳動脈瘤などカテーテル療法を用いたコイル塞栓術などの治療に有効です。また、この装置はX線被ばくの低減と高画質の両立が実現できるため、患者さんの安全性が向上し、より長時間で複雑な手技を行うことが可能となります。
血管造影装置:フィリップス社製『商品名:Allura Clarity FD20/20(アルーラ クラリティ20/20)=通称:バイプレーン』(当該最新品番は、兵庫県下では初導入)

専門医制度と連携したデータベース事業について
当院は「一般社団法人National Clinical Database(NCD)」のデータベース事業へ参加しています。